誕生日に女よりも先に帰る男

夕方、搬入車への積み込み作業が終わり、事務所に戻って着替えを済ませると汗だくのまま私は車に乗って会社をあとにしました。―― 一刻も早く、帰って風呂に入りたい。この時期は大概、自宅に着くと即行で風呂に入るのが日課になっています。あまりの風呂の待ち遠しさに私はふと「信号機なんてなくなればいいのに」とさえ思いました。それほどまでに、その時の私にとっては「風呂に入る」という行為が重要だったのでしょう。玄関で鍵を開けるとダッシュで浴室まで行き、

私は一日分の疲れを洗い流しました。風呂上がりに携帯を開くと、橋崎から2度着信が入っていました。しまった。今日は橋崎の誕生日だったのです。折り返し電話を掛けると彼女が出た。「今、どこにいるの?」「ゴメン。もう家。輝美、今日誕生日だったよな?」「まさか、忘れてた?今気付いたとか」「いや、ちゃんと覚えてるよ。今から会えるか?」仕事を終えた直後でしょうか。「私より先に帰って、許さない」とばかりに輝美はやや怒っているような口調でしたが、私は慎重に言葉を選びながら一生懸命輝美の機嫌を取りました。それが何とか功を奏し、渋々ながらも輝美は待ち合わせに応じてくれたのでした。 合宿免許 空き